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お墓じまいの折のご縁(ご実家のお墓を見送って)

住職ブログ

2025.10.15

先日、三姉妹のご実家のお墓じまいに立ち会わせていただきました。

一年前のこと、妹さんから「永代合葬墓のことでお聞きしたい」とお電話をいただき、お寺にお越しくださいました。とてもはきはきとした、しっかりされた方で三姉妹それぞれがご結婚されており、「これから実家のお墓は誰もお参りできなくなるので、自分が動けるうちに実家のことを片付けたい」とお話しくださいました。

その際、法泉寺でご実家のご遺骨をお引き受けできる旨をお伝えしました。それから妹さんはすぐにお墓の整理をお願いできる石屋さんをあちこちお聞きになりながらご自分でお探しになりました。
そして後日、芯抜きを行うため、私とある場所で待ち合わせをいたしました。

待ち合わせの際、私は「帰り道、自分で帰れるようにしますので自分の車で妹さんの車についてまいります」と申し上げたのですが、妹さんは「お墓は山の近くで足元も悪いので、どうぞ私の車に乗ってください」とお気遣いくださいました。

道中、妹さんはお父様のお話をしてくださいました。
お父様は認知症が進み、お墓のことはもちろん、ご自身の生活もままならなくなり、施設で過ごされているそうで、お父様がお世話になっている施設の方に大変感謝しておられました。
そしてたまに様子を見に行かれる妹さんに対し、体調のせいもあってお父様は少し口調がきついこともあるそうで、「他人様にきつく言われても笑って流せるけれど、やっぱり親となると……」と、笑いながらも少し残念そうにお話しされていました。
そのお気持ちがよくわかりましたので、私も「親だからこそ、いちばん心が痛むものですよね」と言葉を重ねました。

そしてとうとう法泉寺の合葬墓へご実家のご遺骨をお納めする日、妹さんはお姉様とご一緒に寺にいらっしゃいました。
お布施の封筒には、三姉妹それぞれのお名前が記されており、苗字は皆それぞれ違っていましたが、そのお名前の一つひとつに、三人の思いが込められているように感じました。

ご遺骨をお納めし、お勤めを終えたあと、私は「お寺にお電話くださり、石屋さんのご準備も、大変お疲れさまでした」とお声がけしました。
するとお姉様が、「あなたばっかりにやらせてしまって、ごめんなさいね。ありがとう」と妹さんに言われました。
妹さんは、「お姉さんにはお姉さんのやるべきことがありますから、それをがんばってください、大丈夫です」と穏やかに応えておられました。

そのやりとりをそばで見ながら、私は、このご実家で姉妹として生まれ、ともに時間を重ねてこられたご縁と絆の深さを墓じまいを通して一層あたたかく結ばれたように感じました。

そして、ご姉妹の絆を、これからも法泉寺が末永くつないでいければと思いました。

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